レーザー加工機を買った
EMBLASER A4 https://darklylabs.com/
レーザー加工機を買った。
大学の時に研究室にあったレーザー加工機を使ったことがあり、以前からずっと欲しいと思っていたのだが、これまでは小型の物でもCO2レーザーしかなく周辺補機が必要な点や、ebayに流れてるような格安のレーザー管の品質・耐久性が疑問だったことからなんとなく尻込みしていた。
最近になって素子の値段が下がったのか、半導体レーザーを用いた小型のレーザー加工機が出てきた。出力はCO2レーザーに及ばないものの、圧倒的にシンプルなシステムになることから加工機全体が簡便に安く作れるのだ。
今回買ったDarkly LabsのEMBLASERも、もともとはKickstarterのLazerBladeとして始まったものだった。これが量産品として軌道に乗ったのがEMBLASER。先のKickstarterでは、プロジェクトに気づいたときには期限が過ぎた後で悔しい思いをしたのだが、無事それが量産品としてアップデートしてくれたので結果オーライだった。
加工機の心臓、半導体レーザーのユニット。このてっぺんにファンが付いており、素子の冷却と換気をする。また、素子の寿命を考慮し、デフォルトではフルパワーにならないようにセッティングされている。
組立
箱を開け、大量の緩衝材を除去したところ
EMBLASERは組立キット。うまく設計されているし部品も良くできているので2時間くらいで組み上がる。必要な工具は一般的なプラスドライバーと六角レンチくらいだ。アクリル板の縁にはバリがあったのでヤスリは掛けた方がいいかもしれない。
プラスチック部品は3Dプリンタで出力されたものになっている。
六角ナットがすっぽりはまるような穴が作ってあったり、ベアリングが部材の弾性でぱちっと嵌るようになってたりと芸コマ。普通の射出成形型だと大変だろうなという形状も多く3Dプリンタ様様である。精度はあまり良くない。プリンタで盛り盛りしていくその最後の1段だけテーブルがずれただろっていう部品もあった。ボルトを強く締めすぎるとパキッと割れたりする。注意。
ステッピングモーターにベルトを駆動するピニオンを付ける。
イモネジを回せる小さなレンチの手持ちがなく焦ったが、キットに付属していた。気が利いている。
組立説明書の通りにたんたんと作業し、最後にレーザーの焦点距離調整を行えば加工準備完了となる。
加工
材料に合わせた加工条件出しがなによりもキモ。初めて使う材料はいろいろパラメータを振って、その結果を記録していく作業が必要。これが結構楽しい。
上の写真のt1.5バルサ材だと1500mm/minの3回パスでも、500mm/minの1回パスでも同じように切ることはできるのだが、切れ幅が違ってくる。素早く数回通した方が、切り幅を細く、端面の焦げも抑えることができる。
条件が揃ってくれば作る物に専念できる。
放課後のプレアデスのロゴ。
表面を焦がして色を塗ったのだが、木目の微妙な固さによって模様ができてしまっている。もうちょっと出力を上げれば良かった。
安全性
レーザー保護メガネ。キット付属の素子の波長に適合する物が付属している。
レーザーで切っても切り離せないのが安全性の問題。
この機械は保護カバーがないので安全な代物とは決して言えない。反射したり漏れたりしたレーザー光がどれくらい強くて、どこに行くのか分からないので、加工前にレーザーをスタンバイにする瞬間からオフにするまで必ず保護メガネを着用しなければならない。どこに反射していくかを確認することが出来ない(確認できたときにはTHE ENDかもしれない)からそうせざるを得ない。機械の動きや煙の発生状況は確認しなければならないので、加工中は別の部屋に逃げるわけにもいかない。
というわけで、加工中は常に保護メガネをつけていなくてはならない。その間はメガネの色のオレンジ色の世界になるのでけっこう辛いのだが仕方がないと思う。テプラがあれば「レーザー加工前保護メガネ着用確認」とかベタベタ貼った方がいいと思う。
そういうわけなので、この機械は作業者本人以外がいる工房のような所には決して置けない。他の人が入ってこないことが保証された場所で使用する必要があるだろう。自分が負傷するのは自己責任であるが、他人にケガをさせるのは絶対に避けなければならない。安価になってきて取っつきやすい機械になった分それが怖い。フライス盤等とは危険の感覚が違う。