迎え角30deg.

上向きでも飛んでいかない日々。前に進むだけで精一杯。

SUZUKI V-Strom 650XTを買った話


▲V-Strom 650XT

今年の4月にスズキのV-Strom650XTを買った。

なぜこのタイミングでこのバイクを購入した経緯を書こうと思ったかというと、自分が「V-Strom650と出会った」時から1年経ったのをふと思い出したからだ。

V-Strom650XTとの出会い

以前よりスズキのV-Stromシリーズという旅バイクファミリーのことは知っていた。だが、レトロな雰囲気のST250を気に入っていた自分はアドベンチャーバイクというジャンルにはそこまで興味を持っていなかったし、なんならどんなバイクでだって旅は出来るやんかくらいに思っていた。

 「V-Strom650と出会う」前、スタイルがとても好きで乗りたいと思う大型バイクはあった(今でも乗りたい)。なぜそのバイクをすぐ買わなかったかというと、航続距離が短く自分のバイクライフに合わない気がして迷っていたのだ。
自分のバイクライフは基本的に「旅」である。朝から夕方までいろんなところに立ち寄りながら淡々と走り続けることが多く、峠越えや田舎道が好きなので人里離れた山道も走ったりする。250ccのST250は調子が良いと燃費は40km/Lを叩き出すので12Lの燃料タンクで安心して300km以上を走れる。航続距離に余裕があるので満タンで走り始めてその日の終わりに給油すれば問題なかった。

その乗りたかった大型バイクは、排気量900ccで燃料タンクはST250と同じ12Lしかなかった。900ccだと調子よくても25~28km/Lくらいだと思うので、12Lのタンクでは300km程度を安心して走りきることは難しい。自分の乗り方だと1日の走行の途中に1度給油を挟まないといけなくなるのだ。内燃機関は大好きだが給油のためにガソリンスタンドを探して彷徨うのは大嫌いなので、この航続距離の短さは購入の決心が付かない大きな要因となっていた。

ここまでの話は、脚の長いバイクが欲しい、と思っていたというだけである。
ちょうど1年前の10月に「V-Strom650と出会う」イベントがあった。


▲2022.10.1 ST250e @畑薙第一ダム

2022年10月1~2日、ST250で大井川沿いに出掛けていた。このツーリングの直前に静岡を襲った台風のせいで夢の吊橋は遊歩道が崩落して渡れず、大井川の湖上駅にやってくる列車を眺めようとしたら全線運休になっていた等々いろいろあったのだが、事が起きたのは帰り道である。

関東への帰り道は道志みちを通ろうとしていた。須走から登ってきて山中湖を反時計に回ろうとすると、道志みちに入る交差点の右折待ち渋滞にはまることが多い。その日は特に大渋滞になっており3~400mくらい手前から全く動かなくなってしまった。
「これはもうここでUターンして山中湖を時計回りに回った方がいいかもしれんなぁ」と思った瞬間、自分の前で渋滞待ちをしていたV-Strom650XTの人がUターンをしたのだ。自分も慌てて付いていった。

そのV-Strom650は自分の考えと全く同じで、山中湖を時計回りにぐるっと回って道志みちに入っていった。道志みちを下っていくその後ろ姿を見ているときに、ふと「自分と思考回路が同じ『止まっている1分より走っている10分を選ぶ人』が乗っているバイクって、もしかして自分にも合うのでは……??」と気づき急にV-Strom650に興味が湧いてきた。

その日の夜、ホームページのスペック表を見て「WMTCで23.6km/L、燃料タンク20Lって500km近く走れちゃうじゃん!」と叫んで、頭の中のピースがガチッとハマったのだ。

これが自分の「V-Strom650との出会い」である。

V-Strom650XTを買うまで

ビビッと来たとはいえ、これまで乗っていたST250とは全く違うバイクである。本当に扱いきれるのかはやはり心配だった。

大井川ツーリングの翌週末にはスズキワールドに行き展示車に跨がらせてもらった。身長170cmない自分ではシート高835mmは両つま先ツンツンであり、その状態で初めて引き起こす大型バイクはなかなかの重さであった。隣に並んでいたSV650にも跨がったが、同じエンジンを積んでいるとは思えないコンパクトさに驚いて心が揺らいだのは事実である。

その翌週には箱根のバイカーズパラダイスのレンタルバイクに試乗しに行った。


重さと重心の高さに取り回しはよたよたとしたが、伊豆スカイラインを走り始めた瞬間それまでの車体の重さが消え、Vツインのトトトドドドっという感触と共に一直線に加速していく乗り味と安定感、カーブをスーッと曲がっていく安心感に「これならどこまでも旅に出かけられる」と確信した。

V-Strom650XTを買う

試乗したその次の週末には近所のバイク屋さんに行った。22年度モデルは終売しており、まだ23年のラインナップが発表される前だったので予約も出来なかった。そんな中、V-Strom800DEが発表されもしかして650は廃盤か……とやきもきしていたが、無事1月中旬に23年モデルが発表され予約出来た。そこから2ヶ月半ほど待って4月頭に納車されたのである。

自分の身長で安心して乗るには足つき改善は必須だった。純正オプションに20mm低くなるというローシートがあるが、レビューを見ると幅があって脚が下ろしづらい等あまり評判が良くない。ちょっと悩んだがEFFEXの20mmローダウンリンクを付けてもらうことにした。これで両足母指球くらいで着地出来るようになり、片足ならべったり付けて保持出来るようになった。リアだけ20mm落ちるとカーブが走りづらかったが、フロントフォークを10mm突き出したところ気持ちよく走れるようになった。
また、最初は絶対に立ちゴケしたり取り回しで倒すと思ったので、ヘプコ&ベッカーのエンジンガードも納車時から付けてもらった。(大正解だった)
plotonlinestore.com
www.parts-accessory.jp

V-Strom650XTに乗り始めて

納車された4月に慣らしの1000kmを走り月末にオイル交換、GWには本州最北端・最東端を目指して東北をぐるっと回るツーリングをした。5月の後半にはSSTRで千里浜に行き、7月の終わりには北海道ツーリングをした。結果、8月頭までの4か月で10,000kmを走ってしまった。


▲千里浜

旅バイクのそのキャラクタの通り、乗った瞬間にどこか遠くに行きたいと思え、走ればその行きたいところまで行けてしまう。下道をトコトコ走っても楽しいし、高速道路もそのパワーで快適に走れる。乗り味が良いので乗っているだけで心地よく、燃費も良くて旅の計画が狂うこともない。こんなに自分の楽しみ方にハマるとは思わなかったというのが正直なところだ。

見た目についても、他のV-Stromの角目+薄く尖らせたくちばしに対して、650の丸っこいライトも丸みのある優しいくちばしも気に入っている。金色のスポークホイールも「乗り物らしさ」があって大好きだ。普段はトップケースだけで身軽にしているが、ロングツーリングの時はサイドバッグを付けてより旅バイク感が出るのも頼もしい。

よき旅の相棒に出会えてよかった。


▲北海道のどこか

これからもVストちゃんと一緒にいろんなところに出掛けていきたい。