真夏の西日本をドライブしてきた、という夢を見た話[3/3]
6日目(金曜日)35.7
宇和島から国道320号線を通って山に入っていく。お目当ては愛車で四万十川の沈下橋を渡ることだ。
乗用車が通れそうな沈下橋をいくつか事前に調べていたのだが、以前四万十川に来たときに通れた岩間沈下橋は修復工事中になるなどじわじわ老朽化の影響が出てきている。
朝早く出て屋根開けで気持ちよく走る。
長生沈下橋
渡った先には集落があるくらいなので、基本的に往復することになる。長生沈下橋には、橋の中央部がわずかに広くなっており行き違いができるようになっていた。だれもそんなところですれ違おうとはしないだろうが…。写真のランドクルーザーは観光客(not 地元民)だったのだが、この直後に通った地元の方の軽自動車のスピードが段違いに速かった。
三里沈下橋
四万十川には以前に2回来たことがあるのだが、一度は雨降り、もう一度は数日前の大雨で年に2回も無いほどの濁流(地元の人談)で、清流四万十を実感したことは無かった。今回は、天気にも水のきれいさにも恵まれ、本当の四万十川の姿を拝むことができた。山の緑が写りこんだ四万十川と、その上に延びる沈下橋が美しい。
景色は美しかったのだが、上の三里沈下橋の写真のフレーム外左側では、外人サイクリストのおっさん2人が胸毛ボーボーの上裸で水浴びをしており最悪であった。
ロードスターの車高では、普通の橋を渡ると欄干が眺望を遮ってしまうことが多いのだが、沈下橋なら安心である。
四万十川を中村まで下り、国道56号と高知自動車道で一気に土佐市へ抜ける。今日は旅程が結構長い。海沿いに出て、桂浜を横目に土佐タタキ道場でお昼ごはんとした。
鰹タタキ定食。
ここでは自分の食べる分の鰹を藁焼きにする体験ができる。生の鰹が刺さった棒を渡されて、店員さんが藁を投げ込む炉の上にかざしているとあっという間にタタキの出来上がりだ。その場で切り身にしてもらい定食になる。焼きたてでサクサクになった皮の食感を楽しむため、最初は塩、次はわさび、その次は塩わさびで食べ、その後にポン酢を掛けて食べるようアドバイスされる。美味しくお腹いっぱいになって大満足。
さらに国道55号を海沿いに走り続ける。途中、手結港可動橋の道路が天を向いて跳ね上がっているのが車窓から見えた。
奈半利を超えると鉄路では来ることのできないエリアである。目指すは室戸岬だ。四万十川を下り終えてから日差しと熱風に負けて屋根を閉じてエアコンを付けていたが、岬が近づくにつれ少しずつ耐えられる気温になってきたので屋根開けで岬にゴール。
室戸岬
砂浜が荒々しい岩場に囲まれた面白い地形であった。
そして以前より訪れたかった水族館に来ることができた。
むろと廃校水族館
その名の通り廃校になった小学校がそのまま水族館になっている。教室が展示室に改装されて地元の海で見られる魚たちが集められている。
写真のようにしっかり水族館然と改修されているところもあれば、廊下の流しがタッチプールになっていたり、理科室はそのまま実験テーブルに水槽が並べられていたりと、水族館としての役目も廃校としての存在感も絶妙なバランスで両立している。大好きな水族館と小学校のノスタルジーが同居するこの空間は、ふとまた行きたくなる魅力が詰まっていた。
屋外大水槽という名の25mプールでは水槽の掃除をしていた。プール掃除の傍らサメやエイが泳いでる光景はなんか長閑だ。
国道55号を辿り海沿いを更に東を目指す。今日の宿泊地は徳島市のちょっと南、阿南市だ。市役所の近くという街中のビジホを予約していたので、お夕飯を食べるところも周りにあるだろうと思っていたのだが、地元の人が集まるような小さな居酒屋ばかりしか無く困ってしまった。ご時世的に狭い飲食店にはちょっと入りたくないという気持ちもあったし、ホテルの周りで今回の旅行の中で初めて「県外の方お断り」という張り紙を数軒で見かけてしまい、何かを察してしまったというのもある。1回駐車場に駐めた車をまた出す気も起きず、割と歩いて結局すき家に入ることになった。カレー美味しい。そういえば、ずっとお魚料理続きだったな、と思い出すなどした。
7日目(土曜日)35.7
ゆるゆると朝起きて徳島港を目指す。
午前中だけど屋根開けはなし。数日前にフェリー会社から、検温で乗船お断りの閾値を37.5から37.0に下げるという案内が来ていた。起きたとき全くの平熱で健康であっても、炎天下にしばらくいたら体温がどうなってしまうかは分からない。乗れなくなったら困るので、エアコンをちゃんと掛けて体を休めながらフェリー港に向かった。
ロードスター2回目の長距離フェリー。徳島港から一気に東京港にワープする。
追加費用ではあったがベッドが2つある個室を予約した。人と接する場を避けようというのが一番の目的ではあったが、自分だけの空間に大海原だけが見える窓があるというのが最高なのだと知ることができた。朝11時に出港して到着は翌朝6時という長丁場であったが、iPadに溜め込んできていたアニメを見たり、窓際に腰掛けて船から逃げるトビウオの群れを眺めたりしているうちにあっという間に夕暮れになっていた。ゆらゆらとお湯の揺れるお風呂に入って、冷凍食品自販機のお夕飯(レストランは無い)を食べ、21時頃にはベッドに潜り込んだ。場所はだいたい浜松の真南。潮岬を回り込んだ辺りから携帯の電波は入らなくなっており、久々にネットから切り離された静かな夜となった。