まずは準備
前回2023年はVストローム650で北海道の東西南北端を回った。今回はどういうテーマにしようかなと考えてST250に北海道の大地を走ってもらおうと決めた。広大な景色の中を250cc空冷単気筒でトコトコと走る。良いではないか。
北海道に行くとなれば道内の長距離走行に加えて新潟港までの往復も走らなければならない。 総走行距離も50,000kmを超えたし、積載量もVストロームに比べるとだいぶ劣る。出発する数ヶ月前からちまちまと車体の準備をした。
まず長距離走行の対策としてメーターバイザーを取り付けて、バーエンドミラーを通常のミラーに変更した。メーターバイザーは小さい物であったがハンドル周りのグチャグチャとした気流が体に当たらなくなり高速走行がかなり楽になった。ハンドルから飛び出していたミラーを正面投影面積内に収めたので少し抵抗も改善したかもしれない。ミラーの変更はどちらかというと見た目のまとまり具合が良くなったという気分的な効果の方が大きい。
積載については革トランク+左右サイドバッグ+リアシートの防水バッグ+タンクのマップケースとした。革トランクは以前使っていた物より一回り大きくて見た目の可愛らしい物が手に入った。これに合わせて自作の革トランクキャリアを一度バラして溶接・塗装し直し、取り付け角度や周辺とのクリアランスを修正した。ST250でマップケースを付けたことはなかったので、マグネットによる傷予防シートを貼ったり、高速走行時に風圧でズレてこないかを確認をした。
車体のメンテナンスとしては、基本のオイル交換・フィルタ交換・エアクリーナの洗浄に加えて、スパークプラグを新品に交換、ブレーキフルードを交換して、バッテリも新品に更新した。エンジンの始動がびっくりするほど快調になった。またブレーキのマスターシリンダーの動きがスムーズになり効果を実感した。タイヤの溝は前後とも問題なかった。
走行ルートは人口密度が低く走っていて気持ちの良い最北端・最東端を回る計画として、前回の4極巡りのようなゴリゴリの走行距離にならないようにした。行きのフェリーは新潟→小樽、帰りのフェリーは苫小牧東→新潟(秋田寄港便)を予約した。
-1日目~0日目(7/19) 自宅→高崎→新潟港→フェリー
山谷PA
ST250で南関東から高速を使って一気に新潟まで走ったことがなかったので、安全を見てフェリー乗船の前日は高崎の快活に前泊した。(杞憂だったことは最終日に分かる)
フロントスプロケットを1丁上げにはしてあるが、そもそもパワーも無いので左車線を80~85km/hで淡々と走り続ける。高速道路はスピードを上げることより如何に一定のペースで走り続けるかが重要である。高崎を出発して2時間走り山谷PAで休憩しているときに、関越トンネルを爆速でブチ抜いていった隼と合流したのには笑ってしまった。途中でどれだけ休憩してたんだ。
山谷PAからもマイペースに走って9時過ぎには新潟港フェリーターミナルに到着。乗船開始は10時半なので他の方のバイクを眺めたり待合室で涼んだりしつつ過ごす。乗船待ちのバイクは圧倒的に大型が多く、次いで異常な量を積載したカブ系が目立つ。中型は自分のST250と写真のセロー、乗船直前に滑り込んできたCB400SBの3台くらいであった。車列の中で愛車はとても小さく見えた。かわいい。
出港は正午。フェリーに乗ってしまえばこっちのものである。レストランでご飯をもりもり食べ、ベッドでアニメを見て、サロンで本を読み、青空と青い海を眺めながら露天風呂に浸かる。至福の船旅。翌朝は3時半起きなので21時前にはベッドに潜り込んだ。
走行距離:229km
1日目(7/20) 小樽→稚内
3時半に起床、4時半の着岸の頃に車両甲板へ移動するアナウンス。5時頃に下船して北海道の大地に降り立った。天気はあいにくの雨。弱い雨なので雨具を着ていれば全く濡れないレベルだったのだが、湿度が凄くて汗だくになる。
港から10kmほど走って道沿いのセイコーマートで朝ごはんを食べた。セイコーマートのデカい塩鯖おにぎりが大好きだ。
増毛駅跡
海沿いの国道231号線を辿って北上する。雄冬岬の辺りは立派なトンネルが続き、過去に陸の孤島であったことが良く分かる。
増毛駅跡に到着する頃には雨が上がった。駅前で同じように雨具を片付けていたタンデムのご夫婦と「雨の中走るのが一番疲れますよね」などと雑談をする。
海に沿ってオロロンラインをひたすらに北上する。苫前までの南半分はまだ車がそこそこいて、車列は70~80km/hくらいで流れている。先頭になると後続のプレッシャがそれなりにあって、あまり楽しくない。路肩の広いところに逃げて写真を撮るついでに車列を先に行かせて気持ちの良いペースを保つようにした。雨は降らないが、空はどんよりしており海は少し荒れていた。
初山別を過ぎると車もかなり少なくなる。遠別の街中にあるカフェレストランでお昼ごはんを食べた。ケチャップソースが良くマッチしたチキンソテーはボリュームたっぷりで大満足であった。
旅行先で時間があるときは、その土地のことを知るために郷土資料館を訪ねるようにしている。遠別の町にも郷土資料館があった。閉校した小学校の木造校舎を利用した資料館とのことだったが、見学には3日前までに予約がいるというハードモードで記念写真を撮るのみとなった。レトロなST250はこういう場面でも絵になる。
オトンルイ風力発電所
牧場の中のカフェに立ち寄り濃厚なソフトクリームを食べたり牛を眺めたりしながら更に北上する。天塩の町を抜けると風車がずらっと並ぶオトンルイ風力発電所だ。何年も前からこの風車の列が無くなると言われていたが、今回も無事またこの景色を眺めることが出来た。
サロベツ湿原ビジターセンター
サロベツ湿原ビジターセンターから遊歩道を散策。天気があまり良くないのもあるが、夏の北海道の植物は地味に感じる物が多い気がする。広々とした景色もあまり華やかではなくちょっと寂しさがある。春~初夏が一番きれいかもしれない。
サロベツ湿原は泥炭の採取が行われていた土地でもある。なんとなく「泥の塊」のイメージを持っていたが、ここで初めて見て触った泥炭はボソボソした植物の繊維質の塊で全く違っていた。百聞は一見にしかずだ。泥炭の採取に使われていた浚渫船も展示されている。先端にデカいドリルを装備したロマンのメカだった。
稚内港北防波堤ドーム
更に北上し、野寒布岬からこの日の宿泊地である稚内へ。ホクレンのGSで給油し、青いホクレンフラッグとステッカーをゲット。
ホテルにバイクを止めて荷物をまとめていたら、増毛駅でお話ししたご夫婦も到着して笑ってしまった。目的地と経路が限られているので似たようなルートを似たようなペースで走ることが発生しがちである。北海道の大地はこんなに広いのに。
走行距離:366km