レストア作業が展示品
シアトル市内にある航空博物館 Museum of Flightから車で約40分、Boeingの工場があるPaine Field飛行場の脇にこの小さな建物がある。ここはMuseum of Flightの活動の一つとして航空機のレストアが行われている作業場であるのだが、その建屋の中が博物館のように一般に公開されているのだ。
館内には、今まさにレストア作業が行われている機体やこれから作業される機体の部品、展示として常設されている機体が所狭しと詰め込まれており、人によってはガラクタの山にしか見えないが、ごく一部の特殊な趣味・性癖を持つ人たちの目にはお宝が山積みになっているように見える素敵な空間である。
作業机には加工途中の部品、図面、マニュアルが転がり、タイミングによってはボランティアの方が実際にレストア作業に励んでいる姿を見ることも出来る。時期によって作業している機体も変わるので、時々中を覗くと作業の移り変わりも楽しめるだろう。
一口にレストア中の機体と言っても、まさに作業が行われている物や、埃まみれで久しく触られた形跡が見えないんだけど…?って物まで幅広い。ネタもなかなかレアな代物が多く見物である。
Boeing SST
ボーイングが計画していた超音速旅客機、の胴体部分モックアップ。実際に計画のみで終わってしまったプロジェクトであったので、ここにあるモックアップはその存在の数少ない物証だろう。コンコルドと同じように、離着陸時は前が見えるように写真右側に写っているバイザーを下げ、超音速飛行時はバイザーを上げる、そのメカの様子がよく分かる。一応、レストア中とは書いてあったものの、モックアップのレストアってどこがゴールなのだろうか。
De Havilland Comet Cockpit
コメットは館内で唯一常設展示となっている。というのも機体は屋外にあるのだが、壁に穴が開けられて機首部分だけ館内に突っ込んである作り付けになっているのだ(最初の写真参照)。機内も公開されており、世界最初のジェット旅客機を体験することができる。アメリカ国内でのコメットの展示は珍しいが、先に書いた展示方法のために機体全体を眺めることが出来ないのは少々残念。