迎え角30deg.

上向きでも飛んでいかない日々。前に進むだけで精一杯。

Museum of Flight Restoration Center

レストア作業が展示品

Hangar
シアトル市内にある航空博物館 Museum of Flightから車で約40分、Boeingの工場があるPaine Field飛行場の脇にこの小さな建物がある。ここはMuseum of Flightの活動の一つとして航空機のレストアが行われている作業場であるのだが、その建屋の中が博物館のように一般に公開されているのだ。
館内には、今まさにレストア作業が行われている機体やこれから作業される機体の部品、展示として常設されている機体が所狭しと詰め込まれており、人によってはガラクタの山にしか見えないが、ごく一部の特殊な趣味・性癖を持つ人たちの目にはお宝が山積みになっているように見える素敵な空間である。
作業机には加工途中の部品、図面、マニュアルが転がり、タイミングによってはボランティアの方が実際にレストア作業に励んでいる姿を見ることも出来る。時期によって作業している機体も変わるので、時々中を覗くと作業の移り変わりも楽しめるだろう。

一口にレストア中の機体と言っても、まさに作業が行われている物や、埃まみれで久しく触られた形跡が見えないんだけど…?って物まで幅広い。ネタもなかなかレアな代物が多く見物である。

Boeing SST
Boeing SST
ボーイングが計画していた超音速旅客機、の胴体部分モックアップ。実際に計画のみで終わってしまったプロジェクトであったので、ここにあるモックアップはその存在の数少ない物証だろう。コンコルドと同じように、離着陸時は前が見えるように写真右側に写っているバイザーを下げ、超音速飛行時はバイザーを上げる、そのメカの様子がよく分かる。一応、レストア中とは書いてあったものの、モックアップのレストアってどこがゴールなのだろうか。

De Havilland Comet 4C Cockpit
De Havilland Comet Cockpit
コメットは館内で唯一常設展示となっている。というのも機体は屋外にあるのだが、壁に穴が開けられて機首部分だけ館内に突っ込んである作り付けになっているのだ(最初の写真参照)。機内も公開されており、世界最初のジェット旅客機を体験することができる。アメリカ国内でのコメットの展示は珍しいが、先に書いた展示方法のために機体全体を眺めることが出来ないのは少々残念。

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Aero Spaceline Mini Guppy

Mini Guppy
Aero Spaceline Mini Guppy @ Tillamook Air Museum

ミニグッピーはたった2機だけが作られ、その1機がTillamook Air Museumに保管されている。機体は他のグッピーシリーズと同じくBoeing 377 Stratocruiserのコックピット回りや翼の部品が流用されている。Miniとは言え、Stratocruiserよりも胴体がストレッチされているので決して小さくはない。
グッピーは、貨物室前方が膨らんでいるために、機首の部分が開き前方から荷物の積み卸しを行うが、貨物室の断面が一定のこのミニグッピーは、テール部分が開いて後方から荷物を積み卸しをするようになっている。ちょうど、787の部品の運搬を行っているBoeing 747LCF Dreamlifterと同じだ。ただし、ミニグッピーは機体右側にヒンジがありテールを右に振るが、747LCFは左側にヒンジがある。
Cargo door hinges
貨物扉のヒンジ

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Tillamook Air Museum

牧草地の真ん中にそびえる異物

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でかい。

ポートランドから西に車で1時間半、海沿いの畜産の街ティラムックの牧草地の真ん中に、「AIR MUSEUM」と大書きされた建物が見えてくる。遠くからでもよく見えたそれは、近づくにつれどんどん大きくなり、目の前に立ったときはあまりの桁違いさに笑いがこみ上げてくる。上の写真では建物の前に置かれたミニグッピーの大きさに誤魔化されてしまうけれど、建物の脇に駐められた車の大きさと比較するとその異様さがよく分かる。

巨大な木造建築

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もともとこの建物は米軍の飛行船の格納庫だった。太平洋戦争中は日本軍が乗り込んでくるなら西海岸のこの地かもしれないと、飛行船で警備が行われていたらしい。木材で美しいトラスに組み上げられたこの格納庫は、柱がない木造建築として現在でも最大であるとのこと。その巨大な建物が博物館として使用されているが、そこまで展示品は多くないので敷地の大半を持てあましている。今回訪問したときは、建屋の半分はキャンピングカーの駐車場として使われていた。

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Evergreen Aviation & Space Museum

巨大水上機の眠る場所

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現在においても翼幅最大を誇る巨鳥、H-4 Spruce Gooseが翼を休める。胴体の脇に立ち、機体を見上げた時のその威圧感は建築物のようでなかなか飛行機として認識できない。天井の高い建屋の中にまるで壁が立っているような迫力である。

航空会社のコレクション

2014年のサンクスギビングの連休に訪問。シアトルからポートランドまでI-5を南下すること3時間、ポートランドから1時間、マクミンヴィルの街外れに広がる更地のど真ん中にに突然ボーイング747が置いてある。Evergreen Aviation & Space Museumは、オレゴン州を拠点とする貨物航空会社エバーグリーン航空(台湾のエバー航空ではない)の所有する航空宇宙博物館。航空会社が博物館を運営しているというのは面白い。
企業の持つ博物館というと自社に関連する物の展示がメインとなりそうな物だが、ここは軍用機・民間機・実験機・ロケット・衛星・ヘリコプターetc...と節操がない。特にコンセプトを持って集めているようでもなく、空を飛ぶ物なんでも集めてしまったという、おもちゃ箱のようなコレクションだった。
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博物館の展示はAviation Museum, Space Museumの2つの建物に分かれており、Aviationの方には歴史的な航空機が、Spaceの方にはロケットや人工衛星と割と最近の航空機が収められている。どちらの建物も妻面と天井のガラス張りにより明るく、写真を撮るのも楽しかった。

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スミソニアン博物館 本館~別館 移動方法メモ

年末年始にワシントンDCのスミソニアン航空宇宙博物館に行ってきた。本館と別館の間の移動手段について書き残しておく。

なぜ書いたか

スミソニアン国立航空宇宙博物館はワシントンDCにある本館とダラス国際空港の脇にある別館(Steven F. Udvar-Hazy Center)の2館からなるが、この間の移動が結構面倒くさい。もちろん、博物館のインフォメーションデスクで問い合わせれば教えてくれるのだが、日本人が英語で説明を受けてまともに理解できるはずもなく、分かっただろ?という顔をされれば、Noと言えない日本人は頷くしかない(マテ。インフォメーションは閉館時間より早く閉まってスタッフがいなくなってしまう上に、移動手段をまとめたチラシの一つも置いていない。

助けを求めてネットを検索するとYahoo知恵袋の投げやりな回答が見つかるばかりでその通りに辿ればちゃんとたどり着けるのか不安は解消されない。

本館~別館の移動は路線バスの乗り継ぎが必要となるが、路線バスとは見知らぬ旅行先で利用するにはとても難易度が高い乗り物である。乗るべき路線がよく分からなかったり(目的地最寄りのバス停が分かりづらい/行き先表記にブレがある etc...)、運賃の支払い方が地域ごとに違ったり(前払い/後払い/チケット購入して乗車 etc...)と、その土地での生活に慣れている人で無ければ利用しづらい。これを乗り継ぐ必要があるのだからさらに厄介である。(少なくとも自分は海外・日本国内問わず路線バスを旅程に組み込むのはリスクだと考えている)

その不安を解消するのにこの記事が役立てば幸いである。

お約束

本記事は、2015年2月14日時点の路線・運賃・時刻表による記事である。適宜リンクから根拠資料の確認を行って欲しい。

ルート概要(本館から別館)

本館南口→(徒歩/5分)→L'Enfant Plaza stationバス停
→(路線バス1/metrobus 5A D.C.~Dulles Line/約1時間)→Dulles Airport(乗降場 Curb.2E)
→(路線バス2/Fairfax connector 983/12分)→別館目の前

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はてなブログへ引越し

突然ですが、FC2ブログからはてなブログに引っ越ししました。

経緯

ちょっとした気分転換とFC2ブログの自由度の高さにしんどさを感じたのが大きな要因です。それまでは既存のテンプレートからデザインをいじりーの、レイアウトをいじりーの、その自由度が魅力的と思っていました。ですが「もうちょい読みやすくしたいな」「もうちょいあっさりした感じにしたいな」と全体的に雰囲気を変えたいと思った瞬間に何もかもが面倒くさくなり(費やす時間ももったいないし)、この前見たあのブログの雰囲気が良かったからそこに引っ越しちゃえばいいんじゃない?と。

以前のブログを開設したのは2005年。10年継ぎ足しながら少しずつ改造してきたアマチュアによるクソHTMLソースなんてメンテナンスできなくなるのがオチなのは分かりきっていたので、この際全部まっさらにしてしまえと思った次第です。

思い立ったが吉日、あまり活用していなかったはてなアカウントにログインしブログを開設。テンプレートそのままに以前のブログで使っていたヘッダー画像を入れたら、イメージが似たので良しとしました。

移行作業

FC2から記事データのエクスポート→はてなブログMovableTypeをインポートという普通の作業をすると、記事の改行が全部消えてしまい、全て一行の文章になってしまいました。さすがにこれはマズイし、一つ一つ手直しなんて絶対にしたくない。調べてみると「はてなダイアリー」へのインポートでは改行が抜けないらしいという情報があったので、

  1. FC2ブログから記事データのエクスポート
  2. 記事データを「はてなダイアリー」へインポート
  3. はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移行

という手順で作業しました。無事、改行が反映された状態で読み込まれましたが、今度は[続きを読む]が全て消えてしまいました。もうこればっかりはどうしようもなかったのでそのままにしました。写真が多い記事があるページなどはつらいかもしれませんが、そこまで実害は大きくないでしょう。

ブログの引越しをして

データの移行で改行のトラブルがあった以外は、インポートも移行も全部自動任せで特に問題もなく完了しました。テンプレートは文字の大きさや行間が適切で読みやすくて気に入ったので、変な気を起こさなければしばらく使い続けるでしょう。

問題があったのは自分の書いた記事本体、特にTwitterを始めた2009年より前の記事でした。Twitterを始めてからは日常の些細なコメントはTwitterに垂れ流し、ブログ記事はテーマごとに書くように自然と使い分けていました。が、Twitter開始以前の記事は、日記のような便所の落書きのようなどうでもいい記述が時候の挨拶のように仕込まれ、内容もぐしゃぐしゃ。見るに耐えず一部残してばっさばっさと削除してしまいました。

これを気に記事の文体のですます調をである調に変えようかなと思っていたのですが、脳みその中をキーボードに垂れ流していくと自然とこうなってしまうので無理はしないことにしました。今後とも "迎え角30deg" をよろしく。

近況というほど短くない期間の報告

雑草ぼうぼうなのもちょっとあれなので、久しぶりにブログ書きます。
最後の投稿から半年以上経過してしまいましたが、この半年間で生活環境が激変しました。

3行でまとめると、
 1. 車を売り払った
 2. アメリカ、シアトルに引っ越した
 3. おそばもおせちもお雑煮もお餅もない年末年始を迎えた

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DreamlifterとMt.Rainier

仕事の都合で9月に引っ越したので、アメリカに移ってもう4か月も経過してしまいました。あっという間でした。

1か月目(9月)は本当に怒濤の日々でした。アパートの契約、引越、電気の手続き、携帯の契約、インターネット開設、車の購入、日用品の調達etc...1か月目の待つに船便の荷物が届きましたが、それまで何とも気持ちが落ち着きませんでした。
家賃や電気代、水道代などの諸経費も日本のように銀行から勝手に引き落としてくれればいいのに、チェック(個人小切手)を送付するような方法だったり、ネットで設定するautopayだったりと日本と馴染みのない手続きが多いのです。
「本当に支払えてるかな…電気止められたりしないかな…遅延手数料取られたりしないかな…」と支払いが一サイクル終わるまで、何かが頭に引っかかった状態でした。

2か月目(10月)、生活の立ち上げが完了すると今度は仕事に本腰を入れなければならない時期です。こちらもバタバタしているうちに1ヶ月間過ぎ去ってしまいました。ハロウィンもありましたね。
3か月目(11月)、生活が軌道に乗ってきたところでちょいちょいお出かけするようになりました。特にアメリカは11月に入るとサンクスギビングがあったり、その後にクリスマスシーズンが控えていたりと徐々に浮ついた雰囲気になってきます。
4か月目(12月)に入ると、もうアメリカ人は仕事をしません。サンクスギビングとクリスマスに挟まれた期間はもうみんなふわふわしていて回る物も回らない感じです。
年末年始の休暇はずっと旅行に出かけていました。仕事初めから惰性で転がり気づけば1月も半ばです。

昨年を振り返って見ると、このブログの空白期間である後半半年間が濃密すぎました。そして、異国の地で生活したことで、自分は日本人なんだなと実感する機会が多かったです。友人と離ればなれとか、言葉が違うとかという直接的な面だけでなく、幼少期から擦り込まれている文化的バックグラウンドというものの大きさに気づいたということです。
例えば、ハロウィンやサンクスギビングと言った日本に無いイベント(最近はハロウィンやってますが)で、こちらの方々が仮装で盛り上がってるのを見たり、一緒に盛り上がったりするのですが、自分の中にこのイベントが引っかかるフックがないんですよね。これまで育ってきた中に、そのイベントとリンクする「経験」がなにもないので、すごい上っ面だけで楽しんでる感じがします(伝われ)。雰囲気の違うこちらのクリスマスも同じ。何事もアメリカ人の生活を体験してるだけなんですよね。
積み重ねてきた文化的バックグラウンドがないってだけで、こんなに感じ方が違うんだと言うことに気づけました。年末におそばを食べ、年始にお餅を食べ、つまらないテレビに文句を言いつつ部屋でゴロゴロしながら本を読んだりゆったり過ごす。そういう当たり前に感じる過ごし方も、積み重ねてきたバックグラウンドとリンクすることで、安心でホッと落ち着く時間として過ごせるんだなと。
それは、たとえ家を借りて生活の拠点をしっかり構えてこっちの文化だって面白いと思っていてもそうそうには得られない物。根っこがやっぱりなんか違うんだよな。常に帰るところは別にあると感じてる状態です。

そんなことをぼんやり考えながらの1月です。

このブログも、またちょいちょい更新頻度を戻していきたいなと考えてるところです。2週に1回くらいで。(意識低っ)
日常生活はtwitterで、車関係はみんカラで。

では。