迎え角30deg.

上向きでも飛んでいかない日々。前に進むだけで精一杯。

私はアイカツ!のなにを見てきたのか

2/4日曜日の夕方、博多駅で豚骨ラーメンを食べ、福岡空港への地下鉄に乗り込んだ直後、ツイッターのタイムラインにアイカツ!新シリーズの情報が流れ込んできた。叫び声をあげる人、言葉を失う人、反応は人それぞれであったが、私も大変に動揺した。頭が真っ白になったまま飛行機に乗り込み、降機時にはiPadやらツアーバッグやらを機内に忘れそうになり、タラップの階段で足を踏み外す程度にショックを受けていた。

なぜ新シリーズの発表に私はこんなにも狼狽したのか。冷静に振り返ると一番ショックを受けたのは「STAR☆ANISとAIKATSU☆STARS!がアイカツ!シリーズから卒業する」「アイカツ!新シリーズでは歌唱担当を設けずキャラクタの声優が歌もこなす」という部分だった。

アイカツ!シリーズでは、ゲームやアニメで登場人物のセリフを当てる声優と別に、歌唱担当と呼ばれる人たちが作中のアイドルの歌を担当していた。アイカツ!からアイカツスターズ!までの5年間、STAR☆ANIS、AIKATSU☆STARS!が歌唱担当として活躍している。その日もAIKATSU☆STARS!のライブツアーで福岡まで遠征していたのだ。

自分は2016年4月からアニメのアイカツスターズ!をリアルタイムで見始め、アイカツ!バンダイチャンネルで後から追いかけたいわば新参だ。最初は歌唱担当が別にいることに対して特に思うところもなかったし、クレジットされているメンバーの名前もひらがな2文字3文字で正直区別が付かずにいた。しかし、何度かアイカツ!アイカツスターズ!のライブイベントに参加していくうちに捉え方が変わってきた。

アニメのイベントは声優さんがその登場人物を演じ登壇するのが普通だ。つまり、言ってしまえば登場するのは作中の登場人物そのものである。
対して、アイカツ!のライブステージは先に書いたように歌唱担当が登壇する。ステージ上で歌って踊るSTAR☆ANISやAIKATSU☆STARS!のメンバーは登場人物を直接演じるのではない。だからといって登場人物とかけ離れているわけではない。その姿は、アニメの登場人物と並んで「アイドル活動」に励むアイドルそのものであり、その登場人物たちのアイドルとしての成長が投影された存在に見えた。「アニメのアイドルの姿を演じている」のと「アニメのアイドルの姿がかぶって見える」のは全く違う。

AIKATSU☆STARS!のライブツアー愛知公演を見終えた直後の私は、ライブの様子を以下のように表現した。


虹野ゆめ歌唱担当であるせなさんの愛知公演での歌声は、先に見ていた仙台公演・東京公演を超える伸びやかさであった。「Message of a Rainbow」を堂々と歌い上げるその姿に、歌組のS4として四ツ星学園を率いるほどに成長した虹野ゆめがかぶさって見えたのだ。

登場人物そのものを演じる声優と、登場人物の歌・ダンスのパフォーマンスを担当するアイドル。その二本柱の相乗効果がアイカツ!シリーズの「アイドル」と「アイドル活動」の世界を作り上げているのだと思う。この立体的に作り上げられたアイカツ!の世界が大好きだ。

ツアーファイナルの福岡公演でその実感を深め、感慨に耽っていた翌日に先の新シリーズと新方針の発表である。この大きなパラダイムシフトは容易に受け入れられるものではなかった。発表から1週間が経った今でもまだ戸惑う気持ちが残っている。
アイカツ新シリーズでも、登場するアイドルたちの前向きな世界が描かれるだろう。そこで展開される「アイドル活動」はどのようなものになっていくのだろうか。思うところはいろいろあるし、言葉として書き出すにはまだまとめることが出来ない。


まずは、うたのおねえさんたちSTAR☆ANISとAIKATSU☆STARS!の卒業ライブとなる武道館で、これまでの感謝の思いを精一杯声援として届けられたらと思う。