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迎え角30deg.

上向きでも飛んでいかない日々。前に進むだけで精一杯。

モハヴェ砂漠で飛行機の墓場に手を合わせてきた

Aircraft boneyard
今自分が住んでいるシアトルは旅客機の生まれる場所である。シアトル都市圏のいろんな空港から、日々新しい飛行機が生まれどこかへ飛び立っていく。それらの飛行機はどのようにしてその生涯を終えるのか。その様子を自分の目で見たく、飛行機の墓場の1つであるモハヴェ空港に行ってきた。5月の頭、Planes of Fameエアショーを見に行った翌日のことである。

静かな空港の片隅に集められ、きれいな塗装が残ったまま少しずつ部品をもぎ取られ、徐々に自立できなくなり、赤い地面に身を横たえる旅客機。そこは紛れもなく墓場だった。

Aircraft boneyard
MD-11, DC-10などの3発ジェット機。双発ジェットより長距離路線は有利として登場した3発ジェット機は、時代の流れとエンジン技術の進歩により結局双発ジェット機に駆逐されてしまった。垂直尾翼の前縁やアクセスパネルなどどの機体も同じ部品が外されているのを見ると、部品取りにされているのではなく、内部の電装部品などを取り外してそのまま放置されているのが大半という状況なのだろう。

Aircraft boneyard
胴体が真っ二つにされ崩れ落ちている747-400。なぜこんなに乱暴に壊す必要があったのだろうか。最後の抵抗をするかのように上反角を保っている主翼が健気で痛々しい。切られた部分が傷口のようだ。

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747, DC-10等の大型機の手前に集められたDC-9シリーズ。

飛びモノの生まれる場所

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ここまでモハヴェ空港としか書いてこなかったが、実は「モハヴェ空港・宇宙港」である。写真の空港脇の道沿いには、かのスケールド・コンポジット社などがあり航空宇宙開発・新しい飛びモノの生まれる場所ともなっている。飛行機が集められてくる終わりの場所であり、新しい航空機・宇宙機が飛び立つ始まりの場所である、そのスケール感に圧倒された。

その強烈な光景を眺めながら空港のレストランでチーズサンドイッチを食べたのだが、本当にチーズしか入っていないその割り切りにもショックを受けたのはまた別の話。

Flying Engine Test Bed
P&Wのジェットエンジンテストに使われる747SPの基地になっているようだ。役目が役目だけに、年中仕事のある機体ではないのだろう。腐食を防ぎながら保管するという意味では非常に適した場所だ。あのMRJのエンジンがテストのために括り付けられていたスタブウィングの残りが、コブの部分に残っている。

SAAB Draken
駐車場に展示されているSAAB Draken。これはモハヴェ空港にある航空機テストパイロットの養成学校にて使用されていた機体とのこと。この場所で生まれるのは機体だけではなく、それを乗りこなす人たちも一緒に生まれるのだ。

アクセス

ロサンゼルスの中心地から車で約1時間半。意外と近い。途中の山を越えると目の前に砂漠の平地が広がる。砂漠の中に一直線に伸びるアメリカらしい高速道路を走り一瞬喜んだが5分で飽きた。オートクルーズ様々である。正直を言えば、ハンドルを万力で固定したいくらいであった。
左手に恐ろしい数の風力発電の風車が見えてくると、モハヴェの街に到着する。

Mojave desert
飛行機の墓場は空港の敷地内にある。一般人が敷地の中に入ることはできないので、外周から見るしかない。Googleマップで見ると空港のフェンス際全周に道があるのだが、その実態は上の写真の通り砂漠の中の未舗装路である。地面は固くてスタックするような所はないのだが、車通りが多いわけではないので荒れているところが多い。道の中に大きなサボテンが伸びていたり、路盤が大きく傾いていたり、地図にない線路が横断していたり。今回借りたレンタカーはコンパクトな安い車だったので走るには少々冷や冷やする場面もあった。逆に転回しやすくて助かった面もあったが。

真っ青な空と赤い大地と茶色い灌木の間を走り抜けていく体験は、島国日本人にとっては新鮮で非日常そのものだった。

当然、非日常はリスクの上にある。もしこの場で車に何かあれば数時間砂漠の中を歩いて助けを求めに行く必要がある。未舗装路上でのトラブルがレンタカーの保険でカバーされないことを知り冷や汗をかいたのはさらに後日のことであった。

アルバム

この前日に行ったエアショーの記事はこちら

aoa30.hatenablog.com