迎え角30deg.

上向きでも飛んでいかない日々。前に進むだけで精一杯。

米空軍ネリス基地エアショー - Nellis Open House 2014

Thunderbirds
USAF Thunderbirds

昨年2014年11月8~9日に開催されたエアショー(Open House)に行ってきたときの記録。アメリカ暮らしを初めて丸2か月経ち、生活が安定してからの初めてのアメリカ国内旅行でかつ初めて飛行機に乗ってエアショーを見に行った。
ネリス基地はアメリカ空軍のアクロバットチーム、Thudnerbirdsの本拠地。Thunderbirdsのショーをトリに盛りだくさんのプログラムが組まれていたので、ラスベガスに宿泊して土日2日間ともエアショーを見に行く計画を建てた。

飛行展示はもちろんのこと地上展示機もたくさんあって、初日は会場に到着し入り口近くから飛行展示にかじり付きになってしまい、会場の半分も回れなかった。翌日は到着次第とにかく一番奥まで行くことを心がけてなんとか全体を見て回ることが出来た。2日間にしておいてほんと良かった。

ネリス基地祭は他のエアショー会場と違って珍しくアルコールが解禁されている。カリフォルニアのからっとした日差しを浴びながらビールを煽り、飛行機を眺めて実に幸せな時間を過ごすことが出来る。ただし、アルコールを摂取するとカメラのピントは合わないし望遠レンズはぶれるぞ。

飛行展示

F-35
F-35A
会場到着直後に離陸していくのを見送ってから、どこに飛んでいったのかよく分からなくなっていたF-35。なんと開会式の国歌に合わせてF-22と編隊を組んで会場上空に突入してくる演出だった。ただ、国歌演奏中という厳かな時間だったのでカメラを振り回すわけにもいかず、飛行する姿を撮影できなかったのが残念。離着陸はなんとか撮れたけど。

F-22 + F-86
F-22, F-86編隊
米空軍の歴史を感じさせるデモフライト。以前はF-16やP-51も組み合わせた更に豪華な編隊だったそうな。
F-22F-86も個別に飛行展示していた。F-22はそのエンジンパワーに物を言わせたマニューバを見せつけていた。とにかく滅茶苦茶。ピッチアップでローパスしてると思ったらそのままフルスロットルで90度に上昇していったり、スピンしながらくるくる落ちてきたり、スラストベクタリングでありえないピッチ挙動をしたり。おまけにウェポンベイをパタパタ開け閉めしてローパス。果たしてこれは飛行機なんだろうか、そのつるっとした外観のイメージと相まって宇宙船のようにも感じてしまう。
対して、F-86は実に正当な“飛行機”。得たエネルギーを失わないよう、限られたパワーを生かし、きれいな航跡を引きながら飛んでいく姿は実に爽快。空気に逆らわず、無駄のない動きをする飛行機がこんなに美しいとは…と再確認させられた。

A-10
対地攻撃のデモを終えノリノリのA-10パイロット

B-1 Lancer
アフターバーなを焚き、轟音を響かせて離陸していくB-1
現役機としては他にもF-16アグレッサー部隊やF-15による模擬戦、救難団によるレスキューデモなどがあった。

MiG-15 + T-33
MiG-15, T-33
アメリカのエアショーといえば、飛行可能な状態に維持された古い飛行機がじゃんじゃん飛ぶ。博物館ですらまだ見たことがなかったMiG-15と、同時期に登場したT-33との編隊飛行は、過去ライバルだった古老が若者達を見守っているようで感慨深かった。
しかし、東側の機体の部品なんか手に入るのだろうか。逆にそういう市場が出来上がってたりするのだろうか。

Zero
零戦
この零戦はサンタモニカ航空博物館にて復元されて動態保管されているモノ。聞けば、ボロボロに腐食してた主翼外板を新たに作り直しエンジンも換装して復元されたとのこと。これだけ大事にメンテされ、現地の人に"beautiful plane"と愛されている実に幸せな機体だ。

F4U Corsair
F4Uコルセア
ショーの中では零戦を追い立てる役として活躍。他にも二次大戦機ではF6FやB-25、AT-6などが元気に飛び回っていた。もう70年以上経つ飛行機たちなのだ。そのピカピカに磨き上げられた外板から衰えは感じられない。凄い。

エアショーでは撮影枚数が増えることや、連写撮影によるカメラの処理詰まりを抑えるためにRAWではなくjpg撮影とすることが多いのだが、初日の昼過ぎくらいにホワイトバランスの設定が狂っていたことに気づいてへたり込んだ。2日目に取り直せる希望があったので立ち直れたが、jpg撮影するとき再三の確認が必要だと実感。ちなみにホワイトバランスをいじっていた原因は、前日にホテルからラスベガスの夜景を撮るために調整していたためだった。

地上展示

F-22 Raptor
F-22
飛行展示にばかり目を奪われていると、地上に並べられた機材をめぐる時間が無くなってしまうのは先に書いた通り。F-35F-22といった最前線の機体も間近でみることが出来た(さすがに柵で仕切られてはいたが)。このF-22はThunderbirdsの格納庫の前に展示されていたのだが、写真右後ろに写る格納庫の上、鷲のマークの上辺りに人が2人いるのが分かるだろうか。この2人は日光浴をしているわけではなく、スナイパーライフルを携えた警備だった。こういうところはさすがの本気度が感じられる。フェンスをくぐりF-22のエンジン部分に飛びかかっていこうとしようものなら、この格納庫の上からパシュッとやられてしまうのだろう。

Typhoon
タイフーン
この辺りのクラスの機体は周りのフェンスもなく近づき放題触り放題だった。ディテールの写真を撮ったり仕上げを眺めたり好きなだけ楽しめる。

MQ-9 Reaper
無人機MQ-9
実戦用UAVを見たのは初めて。実物を見てもこれが戦地に遠隔操縦で飛んでいくとは信じられなかった。

US Air Force Air Demonstration Squadron “Thunderbirds”

Thudnerbirds
エアショーはThunderbirdsの曲技飛行がトリで〆られる。戦闘機のF-16は、当然ブルーインパルスのT-4よりパワフルであり、力強くスピード感のある演技であった。

Thunderbirds
裏返しで飛ぶことを前提に5番機の番号は上下逆に書かれている。

Thunderbirds
青空に白い機体は美しい。

Thudnerbirds
パワフルで迫力はあったのだが、少々荒削りな感じを受けた。ブルーインパルスの方が上だな。

Thunderbirds
夕日を映してきらめく。

アクセス

ネリス基地Open Houseへは駐車場からシャトルバスが運行される。Las Vegas Motor Speedwayというサーキットの駐車場が開放されていた。ラスベガスの中心街Stripから駐車場まで車で約25分。フリーウェイ上から看板や電光表示板で誘導されるので駐車場まで迷うことはないはず。駐車場のセキュリティチェックを抜けて、シャトルバスに乗り込むと10分足らずで基地に入れた。帰りも同様。ショーから帰ってきた後、夜にラスベガス観光はしたもの一日中基地の中を歩き回ってくたくただったので軽く回って寝てしまった。カジノは横目に眺めただけ。我が家は賭け事にとことん弱い家系なのであんまり興味もなかったし。
2015年は開催されず、次は2016年とのことなので次はさすがに来られないだろう。

アルバム

Thunderbirdswww.flickr.com