巨大水上機の眠る場所
現在においても翼幅最大を誇る巨鳥、H-4 Spruce Gooseが翼を休める。胴体の脇に立ち、機体を見上げた時のその威圧感は建築物のようでなかなか飛行機として認識できない。天井の高い建屋の中にまるで壁が立っているような迫力である。
航空会社のコレクション
2014年のサンクスギビングの連休に訪問。シアトルからポートランドまでI-5を南下すること3時間、ポートランドから1時間、マクミンヴィルの街外れに広がる更地のど真ん中にに突然ボーイング747が置いてある。Evergreen Aviation & Space Museumは、オレゴン州を拠点とする貨物航空会社エバーグリーン航空(台湾のエバー航空ではない)の所有する航空宇宙博物館。航空会社が博物館を運営しているというのは面白い。
企業の持つ博物館というと自社に関連する物の展示がメインとなりそうな物だが、ここは軍用機・民間機・実験機・ロケット・衛星・ヘリコプターetc...と節操がない。特にコンセプトを持って集めているようでもなく、空を飛ぶ物なんでも集めてしまったという、おもちゃ箱のようなコレクションだった。
博物館の展示はAviation Museum, Space Museumの2つの建物に分かれており、Aviationの方には歴史的な航空機が、Spaceの方にはロケットや人工衛星と割と最近の航空機が収められている。どちらの建物も妻面と天井のガラス張りにより明るく、写真を撮るのも楽しかった。
展示機の様子
Boeing B-17。決して小さい機体ではないのだが、H-4飛行艇の前に置かれてしまうとその姿も霞んでしまう。ちょっと損な役回りかもしれない。
Messerschmitt Me 262 Schwalbe
館内の床は真っ白で展示物が浮かび上がる。こんな環境で保管される飛行機たちは実に幸せだろうと思うなど。
MiG-21
Space Museumに展示してある飛行機の周りにはフェンスやロープすらなく近くで楽しめる。東側の機体にこんなに接することが出来て感激だった。
MiG-29
屋外にもかなりの数の機体が展示してある。こちらもフェンスなどは特になくじっくりでディテールを味わうことが出来た。訪れた日は天気が悪く雨が降ったり止んだりで屋外機の見学には向かない日ではあったが、逆に展示機の主翼の下で雨宿りをして楽しんだりしていた。
丸1日遊べる博物館
屋内展示・屋外展示ともとてもボリュームがあり、じっくり見ていると丸1日いても足りないほどであった。実際に屋外展示機は全部見る前に日が傾いてしまい途中で断念したのが心残りである。
この博物館には飛行機やロケットなどが展示されている建物に加え、IMAX TheaterとWater Parkがある。Water Parkは名前の通り温水プールであるのだが、何を考えたのかプールの建物の上にボーイング747がまるごと乗っており、あろうことかウォータースライダーになっている。非常時以外で旅客機の扉から滑り台で飛び出して水の中に飛び込むことが出来るのはここだけだろう。再訪することがあったら是非水着も持っていきたいと考えている。
Evergreen Aviation & Space Museum | Flickr