迎え角30deg.

上向きでも飛んでいかない日々。前に進むだけで精一杯。

アメリカ生活が終わった

やっと日本から帰ってこいとの指令が出てアメリカ駐在が終わった。2014年9月に赴任して約1年半という期間は海外に送り込まれる駐在員としては短い方かもしれないが、自分としてはもう満腹、というよりいっぱいいっぱいという感覚。 

 最初は、あちこち旅行したり、日本との違いに面白いなぁと感じる気持ちの余裕があったのだけれど、それも1年も経つと徐々に飽きてきてネガティブな面ばかり目に付くようになってしまった。アメリカ人と日本人の仕事に対するメンタリティの違いにはイライラすることが多かった。去年の夏に一度日本に出張して、その差を如実に目の当たりにしてからは特に。 
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ボーイング727初号機が25年ぶりに空を舞う。そのラストフライトを見てきた。

Final approach
Boeing727-022 N7001U

去る2016年3月2日、ボーイング727の初号機が25年ぶりに空に舞い上がった。

この機体は1963年にボーイング727として初飛行し多数の飛行試験を行った後、1964年にユナイテッド航空に納入された。27年間フライトののち、1991年に旅客便としての最終フライトを行いその後はMuseum of Flightに寄贈され、Museum of Flight Restoration Centerにて保管・レストア作業が行われていた。

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1963年ロールアウトの日

ラストフライトは、Restoration CenterのあるEverettのPaine Field(KPAE)を南向きに離陸し、Museum of FlightのあるSeattleのBoeing Field(KBFI)に北から着陸進入するほとんど直線のたった15分間のフライトとなった。たった一度のフライトを行うためだけのレストアのため、フラップ・スラットは固定、ランディングギアも下げっぱなし、離陸時のスロットルも控えめで着陸にスラストリバーサは使わないという限定的なモノとなった。

Restoration Centerにてこの機体のレストア作業が行われている様子を何度か見ていたので、この機体のラストフライトを見ることができて幸せだった。この1年半で追っかけてきた様子をまとめてみたいと思う。

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国立アメリカ空軍博物館

アメリカの航空博物館で絶対外せない博物館。第一次世界大戦の機体から二次大戦、ベトナム戦争湾岸戦争、それらと並行して生み出され続けた試験機のXシリーズなどがこれでもかと集められている。展示機数は圧巻の一言。

R&D Building, Presidential Aircrafts

この格納庫に納められている飛行機は、各時代の大統領専用機や試験機など一品物ばかり。特にXプレーン群は一つの目的を成し遂げるためだけに生み出され、テストが終わればすぐに引退していく。このような安住の地を得た機体たちは本当に幸せだ。

X-24A
リフティングボディ試験機 X-24A

Bell X-1B
X-1B

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Northrop/McDonnell Douglas YF-23

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YF-23 PAV-1 Spider

コンペに敗れた試作機、実戦に間に合わなかった戦闘機、数回しか飛ばなかった実験機。IFの物語を思い浮かぶような儚い飛行機にはロマンを感じてしまう。YF-23もそのひとつ。

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国立空軍博物館に展示されているのはYF-23の1号機、チャコールグレーに塗られたS/N 87-800(PAV-1) Spiderである。なのに、なぜかノーズギア扉の内側には"GRAY GHOST"と書かれている。機体にも搭載エンジンYF119のメーカーであるP&Wのロゴが描かれている

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レーザー加工機でカッティングシートを切る

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レーザー加工機でやってみたかったのがカッティングシートの切断だ。その精度と繰り返しの正確さは人間がデザインナイフを握ったのでは実現できない。いくつかステッカーを作り工程がつかめてきたのでまとめたいと思う。

用意するもの

オレフィン系カッティングシート

ホームセンターなどで一般に売っているカッティングシートをレーザー加工機で切ることは出来ない。一般のモノは素材がPVC(ポリ塩化ビニル)だからだ。これをレーザーで加熱すると塩化水素が発生し、人体に有害な上に腐食性が強く加工機が一気に痛んでしまう。PVCに限らず塩素を含む素材のレーザー加工は御法度。材料に塩素が含まれているかどうかの判定方法は以下の記事で解説されている。彫刻を入れたくなりそうなMoleskineの手帳カバーなんかもアウトらしい。

How to Identify Polymers with Burnination » NYC Resistor

炭化水素のポリオレフィン系のカッティングシートであればレーザー加工ができる。メジャーではないので色数が少なく、店頭で見つけることはほとんどないと思われるが、通販であればいくつか取扱店はある。オレフィン系カッティングシートの感触は、3Mの柔らかい屋外用シートと屋内用の硬めのプラスチックっぽいシートのちょうど間くらいだった。ステッカーとしての取り扱いは一般的なものとほとんど変わらない。

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ねんどろいどのディスプレイスタンドを作った

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ねんどろいどは増える。
教科書にも載っている自然の摂理だ。仲間を呼ぶのか分裂するのかその原理は分かっていない。ただ一つはっきりしているのは、ねんどろいどが1体いるとその周りはすぐにねんどろいどだらけになるということだ。そして、増えたねんどろいどは飾らなければならない。

厚紙で作ったiPadスタンドが結構がっちりと仕上がり実用的で気に入ったので、同じ材料・手法でねんどろいどをディスプレイするひな壇を作った。
aoa30.hatenablog.com

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North American XB-70 Valkyrie

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これもずっと会いたかった飛行機。生み出された政治的背景をすべて吹き飛ばす力強さを持っている。

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ツルのように伸びた胴体に巨大なエンジンを6発も携え、その巨体は大きなデルタ翼に支えられる。その翼はこの怪鳥が本気を出すときにのみ、地上では決して見せない姿に変化する。地上にいる人間にはその勇姿を拝むことはできない。

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この機体が作られ、実際に空を飛んでいたのは50年も前だ。これほど「飛びたい」という意志が溢れているデザインの航空機は今あるだろうか。怪鳥が翼を休める姿を前にそんなことを考え一抹の寂しさを感じてしまう。

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この機体も博物館の改装で新しい建屋に移動される。これまでの格納庫はXB-70がギリギリ収まるサイズであったので、真正面から見たりエンジンの排気口を覗き込んだりといったことができなかった。周りにも小さな機体が所狭しと並べられていたので、どこから写真を撮っても別の機体が写りこんでしまっていた。新しい建物に移ったら見学環境はよくなるだろう。広い建物に移ってゆっくりと羽根を伸ばして欲しい。もう伸ばしてはいるか。

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